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映画ファンの皆さん、今回は『劇場版アーヤと魔女』を徹底レビューします。本作はスタジオジブリ初となるフル3DCGアニメーションとして注目を集めた一方、公開当時は評価が大きく分かれた作品でもあります。この記事では、あらすじ・声優情報を含むネタバレなしの感想から、結末や登場人物の掘り下げを含むネタバレありの考察まで、私が実際に鑑賞して感じたことを率直にまとめました。ネタバレのある部分は見出しではっきり示していますので、まだ観ていない方も安心して読み進めてください。
映画の情報

| 映画名(日本語) | 劇場版 アーヤと魔女 |
| 映画名(英語) | Earwig and the Witch |
| 上映時間 | 83分 |
| ジャンル | アニメーション、ファンタジー |
| NHK総合放送日 | 2020年12月30日 |
| 劇場公開日 | 2021年8月27日 |
| 監督 | 宮崎吾朗 |
| 企画 | 宮崎駿 |
| 製作国 | 日本 |
| 評価 | 5点中2点 |
本作はもともと2020年12月30日にNHK総合でテレビ放送された作品で、新作カットを追加したうえで2021年8月27日に劇場公開された経緯があります。テレビ放送版と劇場版の違いも本作を語るうえで押さえておきたいポイントです。
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あらすじ
1990年代のイギリス。孤児院の前に置き去りにされていた少女アーヤは、心優しい先生たちに可愛がられながらも、里子に出されることを嫌がり、したたかな知恵で居心地の良い生活を守っていました。ところがある日、素性の知れない女性ベラ・ヤーガに引き取られることになり、魔女の家での奇妙な暮らしが始まります。
原作はダイアナ・ウィン・ジョーンズの同名小説で、児童文学らしい軽妙さと、魔女の家という閉じた空間での駆け引きが物語の軸になっています。ネタバレなしの範囲で言えるのは、アーヤが単なる「か弱い主人公」ではなく、大人を手玉に取るしたたかさで状況を切り開いていくタイプのヒロインだという点です。
キャスト・声優

声優(役名)は次のとおりです。
| 役名 | 声優 |
| アーヤ | 平澤宏々路 |
| ベラ・ヤーガ | 寺島しのぶ |
| マンドレーク | 豊川悦司 |
| トーマス | 濱田岳 |
アーヤ役の平澤宏々路さんにとって本作は声優として大きな挑戦の場となった一方、ベラ・ヤーガ役の寺島しのぶさんとマンドレーク役の豊川悦司さんは、実写でも存在感のある演技をしてきたベテランです。特にマンドレーク役の豊川悦司さんは劇中でほとんど台詞らしい台詞を発しないにもかかわらず、低い唸り声と間の取り方だけで「得体の知れない同居人」という空気を作り出しており、声だけの芝居でここまで存在感を出せるのかと驚かされました。
監督
宮崎吾朗。『ゲド戦記』『コクリコ坂から』に続く長編三作目にあたり、企画には父である宮崎駿が名を連ねています。これまでの手描き路線から離れてフル3DCGに踏み切った判断も、新しい表現に向き合い続けるこの監督らしい選択だと感じます。
脚本
丹羽圭子、柿本幸一
原作
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「アーヤと魔女」
ネタバレなし感想

全体の雰囲気・テイスト
画面全体の質感は、これまでのジブリ作品が持っていた手描きの温かみとは明確に違います。人物の輪郭や光の当たり方にはCGらしい硬さが残っていて、魔女の家の薄暗い台所や雑然とした地下室といった生活感のある空間も、どこか人形劇のような手触りで描かれています。物語自体はコメディの軽さとダークな雰囲気が同居していて、1時間半弱の尺の中でテンポよく進んでいく印象です。
見どころ・おすすめポイント
見どころとしてまず挙げたいのは、スタジオジブリが初めて挑んだフル3DCGという制作手法そのものです。キャラクターの陰影やカメラの寄り引きは3DCGならではの均一な質感になっていて、例えば台所でベラ・ヤーガが呪文を唱えるシーンでは、鍋から立ち上る湯気やガラス瓶に反射する光の描き方がこれまでの手描きジブリ作品にはない質感になっています。新しい技術に手探りで挑む本作の作り手の姿勢は、住み慣れない魔女の家で手探りに生き延びようとするアーヤ自身の物語と重なって見えるところがあり、そう考えると本作の危なっかしさもひとつの狙いだったのかもしれない、と個人的には感じました。もう一つの見どころは音響面で、劇中にはロック調の劇伴が随所に使われていて、静かな会話劇のシーンとのメリハリを作っています。
■ ここがポイント
フル3DCGへの挑戦そのものは評価したいところです。ジブリがこれまで培ってきた手描きの魅力とは別の道を選んだ勇気は買いたいですし、この路線をさらに磨いていってほしいというのが正直な気持ちです。
こんな人におすすめ/おすすめしない人
ジブリの新しい実験に興味がある方や、魔女と少女の駆け引きを描いた軽めのファンタジーを気軽に観たい方にはおすすめできます。一方で、重厚な手描きの世界観や、涙腺を刺激するような感動的なクライマックスを期待している方には、正直なところ物足りなさが残ると思います。
評価
評価は5点中2点としました。3DCGへの挑戦という意欲は買えるものの、ストーリー全体としての満足度はジブリ作品の中では控えめだったというのが率直な感想です。
ネタバレあり感想
⚠ 注意
ここからネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。
印象的だったシーン
物語の終盤で印象に残ったのは、無口な同居人マンドレークの過去が少しずつ明かされていく場面です。ほとんど言葉を発さず、唸り声と目つきだけで威圧感を出していたマンドレークが、実はロックミュージシャンとしての顔を持っていたらしいという設定が見えてくると、それまで「得体の知れない怖い存在」として描かれていた彼の印象が一気に変わります。アーヤを産んだ実の母親についても、ベラ・ヤーガたちと同じ魔女の世界と関わりがあったことがほのめかされ、アーヤ自身のルーツが少しずつ明らかになっていく構成は本作らしい仕掛けだと感じました。
キャラクターについて
主人公アーヤは、か弱く助けを待つタイプのヒロインではなく、大人を観察して弱点を見抜き、交渉材料に変えていくしたたかさを持ったキャラクターです。孤児院の先生たちを手玉に取っていた序盤の描写がそのまま、魔女の家でベラ・ヤーガやマンドレークを相手にした駆け引きにも引き継がれていて、環境が変わっても「したたかに生き抜く」という一本の軸がぶれない点は、この主人公の魅力だと思います。一方でベラ・ヤーガは口では厳しいことを言いながらもどこか間の抜けた仕草を見せる場面があり、寺島しのぶさんの声の演技がその緩急を支えています。
良かった点・気になった点
良かった点は、アーヤが一方的にいじめられる展開にならず、知恵を使って状況を対等に近づけていく過程がテンポよく描かれていたことです。気になった点は、マンドレークの過去や実母との関係といった核心部分が明かされ始めたところで物語が終わってしまい、続きを匂わせるような開かれた終わり方になっていることです。原作ファンからは「もっと深く描いてほしかった」という声が上がったのも理解できますし、実際に本作の興行収入は約3億円とジブリ作品の中では小規模な数字にとどまりました。現時点で続編制作の発表はなく、この投げ出されたような余韻が本作の評価を分けている一番の理由だと私は考えています。
総評・一言まとめ
総評として、新しい技術への挑戦は買いたいけれど物語としての着地は物足りなかった、というのが私の偽らざる感想です。フル3DCGという路線自体は、今後さらに磨きをかけていけば十分に武器になり得ると思うので、この先の続編なり新作なりで頑張ってほしいというのが本音です。
まとめ

『劇場版アーヤと魔女』は、スタジオジブリが新しい表現に踏み出した挑戦作です。ストーリーの着地には物足りなさが残るものの、魔女の家でしたたかに生きるアーヤの姿や、豊川悦司さんの怪演によるマンドレークの存在感は、他のジブリ作品にはない味わいがあります。まずはネタバレなしの雰囲気だけでも確かめてみて、気に入ったら結末まで見届けてみてください。
この記事のまとめ
- ✓ ジブリ初のフル3DCGという挑戦作で、手描き作品とは質感が大きく異なる
- ✓ アーヤの「したたかに生き抜く」姿勢が終始一貫した魅力
- ✓ 評価は5点中2点。結末の物足りなさが減点理由