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148分の『007 スペクター』を観終えて、満足と物足りなさが同時に残った。
「面白かったと言っていいのか」と、評価を決めかねていませんか。
私は本作を映像と脚本に分けて評価し、5点満点中3点としました。
ポイントは「映像は一級品、シリーズを束ねる脚本は欲張りすぎ」と切り分けて観ることです。
読み終えるころには、本作を観るかどうか、観たあとにどこを見直すかが決められます。
本作は2015年12月4日に日本公開された、サム・メンデス監督のスパイアクションです。
上映時間は148分、主題歌はサム・スミスの「Writing's on the Wall」です。
前半はネタバレなしの感想、「⚠️ ここからネタバレを含みます」の警告以降は鑑賞後の批評として構成しています。
まずは予告編を2本、ご覧ください。
1本目はメインの予告編、2本目はメキシコシティでの冒頭シーンを含むティザーです。
本作はダニエル・クレイグ主演のボンド映画として、『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』『スカイフォール』に続く4作目です。
フランツ・オーベルハウザー(クリストフ・ヴァルツ)率いる犯罪組織「スペクター」との対峙を描いています。
今回の記事の内容
- 過去の写真をきっかけに単独で動くボンドのあらすじ紹介
- メキシコシティの長回しオープニングなど映像面の見どころ
- クレイグ版4作目としての位置づけと5点中3点の理由
作品情報

| 邦題 | 007 スペクター |
| 原題 | Spectre |
| 上映日 | 2015/12/4 |
| 作成国 | アメリカ・イギリス |
| ジャンル | アクション |
| 上映時間 | 148分 |
| 監督 | サム・メンデス |
| 主題歌 | サム・スミス「Writing's on the Wall」 |
あらすじ
過去から届いた一枚の写真をきっかけに、ボンドは組織の制止を振り切って単独で動き出します。ダニエル・クレイグ版として積み上げてきたものを一つの巨大な影へ収束させていく、サム・メンデス監督作です。
キャスト
監督:サム・メンデス
サム・メンデスは、前作『スカイフォール』に続いて2作連続でボンド映画を手がけた監督です。
人間ドラマ出身らしい丁寧な人物描写に定評があります。
本作でも組織の首領とボンドの因縁を、悪役対決ではなく人間関係のドラマとして描こうとする姿勢が随所に見えます。
脚本
- ジョン・ローガン
- ニール・パーヴィス
- ロバート・ウェイド
- ジェズ・バターワース
前作『スカイフォール』のジョン・ローガンに、シリーズ常連のニール・パーヴィスとロバート・ウェイドが加わっています。
さらに本作から、ジェズ・バターワースが新たに参加しました。
4人体制の脚本は、後半で触れる「要素の詰め込み感」と無関係ではないと私は見ています。
出演者
出演者情報は「俳優(役名)」の順番で記載しています。
ダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)
ダニエル・クレイグ さんが出演している他の映画
- ドラゴン・タトゥーの女
- ライラの冒険 黄金の羅針盤
- トゥームレイダー
レア・セドゥ(マデレーン・スワン)
レア・セドゥ さんが出演している他の映画
- グランド・ブダペスト・ホテル
- ミッドナイト・イン・パリ
- ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
クリストフ・ヴァルツ(フランツ・オーベルハウザー)
犯罪組織スペクターの首領フランツ・オーベルハウザーを演じたのが、クリストフ・ヴァルツです。
抑揚を抑えた静かな話し方の中に、不気味さを滲ませる持ち味があります。
声を荒げなくても場の空気を支配してしまう、独特の存在感を放っています。
レイフ・ファインズ(M)
前作『スカイフォール』からMを引き継いだのが、レイフ・ファインズです。
本作では、国家安全保障局によるMI6統廃合という組織内の圧力とも戦う上司として描かれます。
ボンドを制止する立場にいながら部下を見放さない振る舞いに、Mという役職の重みを感じました。
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シリーズ内での位置づけと観る順番
本作は、クレイグ版でそれまでに散らばった因縁を一本にまとめにかかる「束ね役」の作品です。
そのため、単体で観るより、クレイグ版を順に追ってから観たほうが評価が上がりやすい一本だと私は考えています。
観る順番は次の5本です。
『カジノ・ロワイヤル』: クレイグ版ボンドの出発点です。
『慰めの報酬』: クレイグ版の2作目です。
『スカイフォール』: 同じメンデス監督の前作で、Mの交代もここです。
『007 スペクター』: 本作です。
『ノー・タイム・トゥ・ダイ』: 本作の因縁を引き継ぐ続編です。
時間が取れない場合は、せめて前作『スカイフォール』だけでも先に観ておくのがおすすめです。
監督が同じで、Mを演じるレイフ・ファインズも前作から引き続き登場するからです。
こんな人におすすめ・向かない人
本作が向くのは、物語の意外性より「007らしい画」を味わいたい人です。
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 正統派の007らしさをそのまま楽しみたい | ひねった展開や新しい仕掛けを期待している |
| 長回しなど撮影技法に注目して観るのが好き | 148分の長さに集中が続くか不安 |
| クレイグ版を順に追っている | シリーズ初見で、単体完結の物語を求めている |
向いていない側に当てはまる人は、期待値を「映像を観に行く」に寄せておくと満足度が下がりにくいです。
感想
ネタバレなし感想
ネタバレなしで一番伝えたいのは、冒頭のメキシコシティのシーンがシリーズ屈指の映像体験だということです。
骸骨の仮装をした群衆の中を、カメラがボンドとともに歩き続けます。
建物の中、屋上、路地までを一続きに見せていく撮り方(カットを割らずに長回しで撮る手法)です。
派手な爆発が来る前に、「間に合わなくなる緊張感」を映像だけで作ってしまう力があります。
私はこの長回しを、単なる技術自慢ではなく本作の主題の予告として読みました。
カットが割れない画面は、ボンドが一瞬も視線から外れない状態でもあります。
MI6が統廃合の圧力にさらされる物語の中で、「見られ続ける窮屈さ」を最初の数分で体に覚えさせる設計だと感じました。
Qを演じるベン・ウィショーの働きぶりも見逃せません。
今回のQは現場に同行するほど頼れる存在で、重い空気の中の息抜き役として効いています。
パソコンに核マークのような警告シールを貼っている小道具の遊び心には、思わず笑ってしまいました。
マデレーン・スワンを演じるレア・セドゥも、画面の中では終始凛とした佇まいで魅せてくれます。
役に入り込んだ緊張感のある表情に、女優としての振れ幅を感じました。
一方で正直に言うと、王道のスパイ映画としての作りは良くも悪くも手堅いです。
目新しい仕掛けを期待していた私には、やや定番すぎて物足りなく感じた部分もありました。
評価
評価は5点満点中3点としました。
映像面の完成度と物語の詰め込み具合のバランスが、評価を分ける決め手です。軸ごとの内訳は次のとおりです。
| 評価軸 | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| 映像・撮影 | ◎ | 冒頭の長回しはシリーズ上位の出来 |
| オチの完成度 | △ | 一本で締める手応えはやや軽め |
| 背景知識で倍楽しめるか | ○ | 過去3作を知っているほど因縁が響く |
| もう一度観たいか | ○ | 冒頭だけでも見返す価値がある |
⚠️ ここからネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。
印象的だったシーン
鑑賞後に最も印象に残ったのは、組織の首領とボンドの個人的なつながりが明かされる場面の構成上の大胆さです。
この仕掛けによって、過去3作の出来事まで一本の線で読み直せてしまいます。
シリーズを追ってきた人ほど驚きが大きい一方、初見の人には重みが伝わりにくい、諸刃の剣の場面だと感じました。
キャラクターについて
首領は、世界規模の監視網を握ろうとする野心と、ボンドへの歪んだ執着を併せ持つ人物として描かれます。
クリストフ・ヴァルツの抑えた演技のおかげで、絶叫する悪役ではなく、静かに追い詰めてくる怖さが際立ちます。
ただ、動機がボンドとの個人的な因縁にほぼ一本化されている点は、私には一直線すぎました。
巨大組織を率いる理由としては、もう一段の葛藤や引っかかりが欲しかったところです。
マデレーン・スワンは、過去作の因縁につながる立場から、ボンドと同じく過去に囚われた人物として寄り添います。
守られる役ではなく対等に並ぶ関係性は、これまでのボンドガール像と比べて新鮮でした。
良かった点・気になった点
良かった点は、冒頭メキシコシティの長回しに代表される映像の作り込みです。
しかも監視というテーマが、首領の野心とMI6の統廃合の両側から響き合う設計になっています。
気になった点は、首領をシリーズ全体の黒幕として位置づけたことで、過去の悪役や事件の重みが薄れてしまうことです。
後付けの設定として詰め込みすぎに映り、一本の映画としての物語の座りはやや窮屈になっていました。
総評・一言まとめ
総評として、映像は一級品でありながら、すべての因縁を一つの組織に結び付けようとした脚本は少し欲張りすぎたという印象です。
映像を観るための一本としては満足度が高く、物語の因縁の見せ方には物足りなさが残る、というのが3点とした理由です。
この因縁の決着は、続編の『ノー・タイム・トゥ・ダイ』評で確認できるので、あわせて読んでみてください。
こちらは続編『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の予告編です。
クレイグ版を最初からおさらいしてから観ると、スペクターとの因縁がどう決着するのかがより深く味わえます。
まとめ
『007 スペクター』は、長回しオープニングに代表される映像の完成度と、因縁を束ねる脚本の詰め込み感が同居する作品です。
ネタバレなしパートだけでも見どころは十分に伝わるので、まずは予告編で雰囲気を確かめてみてください。
この記事のまとめ
- ✓ メキシコシティの長回しオープニングなど映像面の完成度が高い
- ✓ クレイグ版の因縁を束ねようとする脚本は詰め込み感もある
- ✓ 過去3作、少なくとも『スカイフォール』を観てからだと楽しみやすい
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よくある質問
「007 スペクター」はどんな映画?
過去から届いた写真をきっかけに、ボンドが組織の制止を振り切って単独で動き出すサム・メンデス監督作。冒頭メキシコシティの長回し撮影が見どころ。
評価は?
5点満点中3点。映像面の完成度は高い一方、過去作の因縁をまとめて回収しようとした脚本が詰め込み気味だった点を評価に反映している。
前作を観ていなくても楽しめる?
映像は単体でも楽しめる。ただし因縁の重みは過去3作を知っているほど伝わるので、最低でも前作『スカイフォール』を先に観ておくのがおすすめ。
※本記事は作品の批評・考察を目的とした個人の感想です。あらすじの詳細な再現や結末の解説は行っていません。引用は論評に必要な最小限にとどめています。作品名・登場人物名・画像等の権利はすべて各権利者に帰属します。
