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『Shall we ダンス?』は、1996年1月27日に公開された周防正行監督のヒューマンドラマです。上映時間は136分(海外公開版は119分に短縮されています)。平凡なサラリーマンがダンス教室の窓辺の女性に惹かれて社交ダンスを始める、というだけの話なのに、第20回日本アカデミー賞では作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞など主要部門を総ナメにし、キネマ旬報ベスト・テンでもその年の日本映画第1位に選ばれました。名実ともに名作と呼ばれている一本です。
ただ、正直に書いておくと、僕自身の評価は5点満点中3点です。名作という前評判と、実際に観たときの自分の温度差――その距離感も含めて、この記事ではまずネタバレなしの感想から、そのあとネタバレありの感想・考察までまとめていきます。
作品情報

| 邦題 | Shall we ダンス? |
| 上映日 | 1996/1/27 |
| 作成国 | 日本 |
| ジャンル | ヒューマンドラマ、コメディ |
| 上映時間 | 136分 |
あらすじ
日本アカデミー賞主要6部門を総ナメした周防正行監督によるハートフル・コメディ。
不自由ない生活をしながらもどこか満たされない気持ちを抱えていた杉山は、ある日通勤電車から見えたダンス教室の女性に目を奪われる。
filmarksより引用
キャスト
監督・脚本:周防正行
出演者
出演者情報は「俳優(役名)」の順番で記載しています。
役所広司(杉山正平)

役所広司さん若いですね~。
若いといってもこの時ですでに40歳ていうのが驚きですね。
孤狼の血に出演していたときが60歳だから、今と比べると20年前だからそりゃ若いのは当然なんですけどね。
役者として長年活躍しているの凄すぎます。
役所広司さんが出演している他の映画
- すばらしき世界
- 渇き
- 孤狼の血
草刈民代(岸川舞)

草刈民代さんは公開当時、本業のバレエダンサーとしてのキャリアも豊富だった方で、劇中のダンスシーンの説得力はやはり本物の身体を持つ人ならではだと感じました。
草刈民代さんが出演している他の映画
- ダンシング・チャップリン
- 終の信託
- 舞妓はレディ
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竹中直人(青木富夫)
杉山の同僚・青木富夫を演じた竹中直人さんも、この映画の隠れた主役だと思っています。表情や声のトーンだけで笑いを取れる役者さんで、本編に出てくる場面はどれも印象に残ります。
ネタバレなし感想
全体の雰囲気・テイスト
物語の骨格はシンプルです。妻子と何不自由ない暮らしをしながらもどこか満たされない杉山正平(役所広司)が、通勤電車の窓から見えるダンス教室の女性・岸川舞(草刈民代)に目を奪われ、誰にも言わずに社交ダンスを習い始める。そこから杉山自身がダンスそのものに魅了されていく過程が丁寧に描かれます。全体のトーンは派手さのないヒューマンドラマで、笑いどころもたっぷりありつつ、根っこにあるのは「くすぶっていた日常に、小さな熱が灯る」瞬間の積み重ねです。
見どころ・おすすめポイント
見どころとしてまず挙げたいのは、竹中直人さんの演技です。台詞よりも表情や間で笑わせるタイプの芝居で、一つの表情を作るまでの「溜め」の長さが絶妙で、その辺の芸人のコントより面白いと感じる場面がいくつもあります。もう一つは、脚本の組み立て方です。サラリーマンの日常と社交ダンス教室という異質な世界を、大きな事件を起こさずに少しずつ重ねていく構成になっていて、派手などんでん返しに頼らずに観客を引き込む力があります。
こんな人におすすめ/おすすめしない人
何かをこっそり始めてみたい、日常に小さな変化が欲しいと感じている人にはおすすめです。逆に、テンポの速い展開やスリルを求めている人には、136分という尺の割にゆったりとした進み方に感じられるかもしれません。
評価
評価は5点満点中3点としました。名作としての完成度は認めつつも、僕自身は素直に大興奮というよりは、じわじわと良さが分かってくるタイプの一本だったという、正直な距離感での点数です。理由は後半のネタバレありの感想で詳しく書きます。
■ ここがポイント
日本アカデミー賞を総ナメした「名作」という前評判と、僕自身が観たときの体感は必ずしもイコールではありませんでした。3点という点数は、その正直な距離感を示す数字です。
⚠ 注意
ここからネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。
ネタバレあり感想
印象的だったシーン
印象的だったシーンはいくつかあります。まず、岸川がダンスの大会に向かう前、パートナーと一緒に街中を歩くシーン。岸川が前を堂々と歩き、後ろをついてくるパートナーが不満そうな顔をしている対比の演出が好きです。並んで歩く二人を長めに追うことで、言葉で説明しなくても二人の関係性の温度差が伝わってくる場面でした。もう一つは、杉山が社交ダンスを習っていることを会社の同僚に見つけられ、からかわれた末に思わず声を荒げるシーンです。今と違って、当時は男性が社交ダンスを習うこと自体が「恥ずかしい」ことだとされていた空気がまだ残っていた時代で、悪口を本人が直接耳にしてしまったときのパンチ力の強さが、テンポの良い編集も相まってしっかり効いていました。
キャラクターについて
主人公・杉山正平を演じる役所広司さんは、不自由のない生活を送りながらもどこか物足りなさを抱えているサラリーマンの空気感を、大げさにならない演技で表現していて、当時の多くのサラリーマン世代が共感できたのではないかと思います。脇を固める渡辺えり子さん演じる高橋豊子も、ダンス教室に集う生徒たちの人間味を支える存在で、杉山だけでなく「なぜ大人になってから何かを始めるのか」という物語全体のテーマを補強する役回りになっていました。
良かった点・気になった点
良かった点は、竹中直人さんの演技力の高さです。ちょっとした動きや表情だけで笑わせてくる場面が何度もあり、この時点ですでに芸達者だったことがよく分かります。草刈民代さんのすらっとしたダンスシーンも魅力的で、あんな綺麗な先生が教えてくれるなら通いたくなる気持ちも分かりますし、社交ダンスという「合法的に異性と手を握れる」設定そのものが、今の感覚で見ると新鮮に映る部分もありました。最後のお別れパーティーで赤いドレスを着てダンスをする場面、男性が背中にそっと手を添える瞬間など、いやらしさはまったくないのに観ているこちらのテンションが上がる不思議な演出も好きです。
一方で気になった点を挙げるなら、136分という尺とストーリー展開のテンポです。一つひとつのエピソードが丁寧すぎるくらい丁寧に描かれている分、今の映画のテンポに慣れていると、正直ゆったりに感じる時間帯がありました。90年代の邦画特有の「間」を良さとして受け取れるかどうかで、体感時間がかなり変わる作品だと思います。
総評・一言まとめ
総評として、『Shall we ダンス?』が名作であることに異論はありません。日本アカデミー賞の主要部門を独占し、キネマ旬報でも日本映画第1位に選ばれ、2004年にはリチャード・ギアとジェニファー・ロペス主演でハリウッドリメイクまで作られた、それだけの力を持った作品です。ただ、僕自身が観たときの手応えとしては、大興奮というよりも「じわじわ効いてくる」感覚に近く、竹中直人さんの演技や細部の演出は間違いなく魅力的だった一方で、全体のテンポの緩やかさが今の自分の感覚とはやや距離があったというのが正直なところです。だからこその5点満点中3点、という評価です。
まとめ
『Shall we ダンス?』は、平凡な日常に小さな熱が灯っていく過程を、竹中直人さんをはじめとした達者な演技と丁寧な脚本で描いた一本です。90年代邦画のゆったりとしたテンポも含めて、その時代の空気ごと味わうつもりで観ると、名作と呼ばれる理由がより実感できるはずです。
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この記事のまとめ
- ✓ 日本アカデミー賞主要部門独占・キネマ旬報1位という評価に見合う完成度の高さは認められる
- ✓ 竹中直人の演技力と丁寧な脚本構成が最大の見どころ
- ✓ 一方で136分のゆったりしたテンポは今の感覚だとやや長く感じ、体感としては5点満点中3点