この映画って観る価値あるのかしら?
間違いなく観る価値があります!
映画ファンの皆さん、今回は映画「天空の城ラピュタ」について徹底レビューします。1986年8月2日公開の本作は、宮崎駿監督が脚本も手がけ、スタジオジブリとして劇場公開された記念すべき第1作です。空から降りてきた少女シータと、機械いじりが得意な少年パズーが、シータの首にかかる飛行石を巡って軍やドーラ一家と絡み合いながら、伝説の空中都市ラピュタを目指す冒険活劇です。この記事ではあらすじ・声優情報・ネタバレなしの感想に加え、「ここからネタバレ」の案内より先はネタバレを含む考察までまとめて解説します。目的に応じて読み進めてください。
映画の情報

| 映画名(日本語) | 天空の城ラピュタ |
| 映画名(英語) | Castle in the Sky |
| 上映時間 | 124分 |
| ジャンル | アニメーション、冒険、ファンタジー |
| 上映日 | 1986年8月2日 |
| 製作国 | 日本 |
| 評価 | 5点中5点 |
あらすじ
少女シータと少年パズーが伝説の天空の城「ラピュタ」を目指す冒険を描く。空から舞い降りてきたシータの首には、彼女の出自に関わる飛行石が光っている。政府軍とドーラ一家という二つの勢力に追われながら、二人は徐々にラピュタの秘密に迫っていく。
キャスト・スタッフ紹介

監督・脚本
監督・脚本を手がけたのは宮崎駿です。前作「風の谷のナウシカ」で確立した「空を飛ぶ少女」「文明と自然の対立」というモチーフを、スタジオジブリという新体制のもとで一段と娯楽性の高い冒険活劇へと昇華させたのが本作だと私は捉えています。
原作
原作はなく、宮崎駿によるオリジナル脚本です。スウィフトの「ガリバー旅行記」に登場する空飛ぶ島「ラピュタ」から着想を得たとされていますが、物語そのものは完全にオリジナルとして組み立てられています。
出演者情報は「声優(役名)」の順番で記載しています。
声優紹介
- 田中真弓(パズー)
- 横沢啓子(シータ)
- 寺田農(ムスカ大佐)
- 初井言榮(ドーラ)
- 常田富士男(ポムじいさん)
パズー役の田中真弓さんは、後年「ONE PIECE」でモンキー・D・ルフィ役を長く務める声優で、少年役の芯の強い声を当時から得意としていたことがよく分かります。ドーラ役の初井言榮さんは、空賊の親分でありながら母性も感じさせる怒鳴り声の緩急が絶妙で、一家全体のコミカルさを支えています。ムスカ役の寺田農さんの、丁寧な物腰の奥に狂気を潜ませる声の演技も、年月を経た今なお色褪せません。
音楽

音楽を手がけたのは久石譲です。オーケストラの壮大さと、素朴なアコーディオンやフルートの音色を場面ごとに使い分け、冒険の高揚感と、シータとパズーの間に流れる静かな時間の両方を支えています。主題歌「君をのせて」は劇中では使われず、エンディングでのみ流れる構成ですが、そのメロディの余韻が本編の読後感をやわらかく包み込みます。
ネタバレなし感想

全体の雰囲気・テイスト
私が本作から受け取る印象は、「重さのない冒険」という一言に尽きます。飛行石を巡る争奪戦、軍と空賊という二つの脅威、天空の城の謎――設定だけを並べると壮大なファンタジーですが、パズーの朝食シーンやドーラ一家の食卓の賑やかさなど、生活の手触りを丁寧に描くことで、観る者を置き去りにしない親しみやすさを保っています。壮大さと生活感の同居が、公開から約40年経った今も色褪せない理由だと感じています。
見どころ・おすすめポイント
見どころとしてまず挙げたいのは、序盤のドーラ一家との飛行船チェイスにおけるカメラワークです。パズーの操縦する滑空機や空賊の飛行船がすれ違う場面では、カメラが被写体を正面から追わず、あえて斜め下や背後から回り込むように動くことで、空を飛ぶ浮遊感と速度がスクリーン越しにも伝わってきます。もう一つは、パズーがゴーグルを装着する場面に象徴される、機械いじりが得意な少年の視点で世界を見せる脚本の作りです。専門的な説明を挟まずとも、彼が何にワクワクしているかが画づくりだけで伝わる点に、宮崎駿監督の作家性を強く感じます。
■ ここがポイント
空を飛ぶ場面のカメラの動かし方そのものが、この映画の「浮遊感」という魅力を言葉ではなく画で語る仕掛けになっています。序盤のチェイスシーンから、その視点の置き方に注目して観ると新しい発見があります。
こんな人におすすめ/おすすめしない人
王道の冒険活劇を求めている方、宮崎駿監督のジブリ第1作を原点として押さえておきたい方には、迷わずおすすめできる一本です。一方で、近年のCGアニメーションのような滑らかな動きを期待していると、1980年代の手描きアニメーション特有のタッチに物足りなさを感じる可能性はあります。ただし、その手描きの質感こそが本作の温度感を支えていると私は思っています。
評価
評価は5点中5点としています。冒険活劇としての完成度、キャラクターの魅力、音楽のいずれもが高い水準でまとまっている上に、観るたびに新しい発見がある「何度でも観返せる」強度を持っている点を高く評価しています。子どもの頃に観た印象と、大人になってから観た印象がまるで違う、数少ない作品の一つです。
⚠ 注意
ここからネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。
ネタバレあり感想
印象的だったシーン
最も印象に残っているのは、シータが「ばあさまの言葉」として口にする、滅びの呪文「バルス」を巡る一連の流れです。ラピュタの力を武器として利用しようとするムスカに対し、シータとパズーが声を揃えて呪文を唱え、城の中枢である巨大な飛行石の力とともに軍事施設を崩落させる場面は、それまでの冒険活劇の熱量が一気に解放される、本作最大のクライマックスだと感じています。光を浴びて力に飲まれていくムスカの姿が崩れゆく城とともに画面から消えていく演出は、派手な爆発以上に不穏な余韻を残します。そして何より、「人は土から離れては生きられないのよ」というシータの祖母の言葉が、ラピュタという浮遊する文明そのものの結末と重なって響いてくる瞬間に、私はこの映画の芯を見た気がしました。
キャラクターについて
パズーは、父親が見たというラピュタの写真を信じ続ける純粋さゆえに、シータという庇護すべき存在ができた瞬間、迷いなく行動に移せる少年です。シータは、飛行石の力を持つ王家の末裔という重い出自を背負いながらも、最後は自らその力を手放す決断を下す点に、血統や特別な力だけで終わらない強さがあります。ムスカは野心の権化として分かりやすい悪役でありながら、ラピュタの正統な後継者でもあるという二面性を持ち、単純な勧善懲悪では片付けられません。ドーラは空賊の親分という立場ながら、最終的にパズーとシータの背中を押す側に回る、物語の緩衝材のような存在です。
良かった点・気になった点
良かった点は、「力を持つ者は滅びる」というテーマを、説教くさい台詞ではなくラピュタという文明の崩壊そのもので語り切る脚本の構成力です。気になった点をあえて挙げるなら、ドーラ一家との共同生活パートはコミカルで愛おしい一方、後半のクライマックスに比べるとテンポがゆったりして感じられることです。ただしこれは、その後の緊張感を際立たせる助走だと捉えれば、むしろ意図的な緩急だと私は受け止めています。
総評・一言まとめ
総評として、「天空の城ラピュタ」はスタジオジブリの原点でありながら、冒険活劇としての娯楽性と、文明論的なテーマの重みを両立させた作品だと思います。「バルス」という一語は、2013年のテレビ放送時にSNS上でリアルタイムに唱和され、1秒あたりの投稿数143,199件という世界記録を打ち立てたほどの文化現象になりました。作品そのものの完成度だけでなく、公開から数十年を経てなお観客を巻き込む力を持っている点に、名作と呼ばれるゆえんがあると感じています。
ラストで示されるのは、力を手放してもなお残るものへの信頼です。滅びの呪文で全てを失うのではなく、大切なものだけを選び取って生き延びる結末だからこそ、この映画は何度観ても色褪せないのだと私は思っています。
まとめ

映画「天空の城ラピュタ」は、圧倒的な映像美、心に響くストーリー、そして忘れられない音楽が詰まった名作です。スタジオジブリの第1作という原点でありながら、公開当時よりもむしろ後年になって国民的作品として愛され続けているという歩みそのものが、この作品の価値を物語っています。映画ファンなら一見の価値があります。ぜひ配信サービスや円盤でご覧ください。
この記事のまとめ
- ✓ 宮崎駿監督・久石譲音楽によるスタジオジブリ劇場公開第1作。1986年8月2日公開、上映時間124分
- ✓ 空を飛ぶ場面のカメラワークや、シータの祖母の言葉に集約される文明論的なテーマに注目すると味わいが深まる
- ✓ 評価は5点中5点。「バルス」祭りに象徴される通り、公開から数十年を経てなお色褪せない一本