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映画ファンの皆さん、今回は高畑勲監督による『かぐや姫の物語』を徹底レビューします。竹取物語を大胆に翻案し、原作にはないかぐや姫自身の喜びと絶望を丁寧に描いた本作は、高畑監督にとって長編映画の遺作にもなった一本です。この記事ではまずネタバレなしの感想からお届けし、後半の「ここからネタバレ」という見出し以降で、結末まで踏み込んで正直な考察を語ります。あらすじや声優紹介、観るべきポイントも詳しく解説するので、鑑賞前後どちらのタイミングで読んでも参考になるはずです。
映画の情報

| 映画名(日本語) | かぐや姫の物語 |
| 映画名(英語) | The Tale of Princess Kaguya |
| 上映時間 | 137分 |
| ジャンル | ドラマ / ファンタジー |
| 上映日 | 2013年11月23日 |
| 製作国 | 日本 |
| 評価 | 5点中2点 |
あらすじ
竹取物語を基にした物語。竹から生まれたかぐや姫が豪華な都の生活を経験し、最終的に月に帰るまでの物語が描かれます。
竹取物語といえば、姫が求婚者たちに難題を課して退けるエピソードが有名ですが、本作はそこだけで終わりません。姫が生まれてから月に帰るまでの喜び・怒り・虚しさといった、原作の文章には書かれていない感情の起伏を丹念に描き足している点が、このアニメ版ならではの見どころです。
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キャスト紹介

本作を支えた監督・声優陣を紹介します。ここまではネタバレを含みません。
監督・脚本
高畑勲。『火垂るの墓』などで知られる巨匠で、本作が長編映画としての遺作となりました。派手な演出に頼らず、間と余白の中に感情を滲ませる作風は本作でも健在です。
原作
竹取物語。日本最古の物語文学とされる古典で、本作はその骨格を保ちながら、かぐや姫自身の心情描写を大きく加えた翻案になっています。
声優紹介
出演者情報は「声優(役名)」の順で記載しています。
- 朝倉あき(かぐや姫):竹から生まれ、都で高貴な姫として育てられていく主人公。喜びと葛藤の両面を等身大の声で表現しています。
- 地井武男(翁):竹の中に光る子を見つけ、実の娘のように育てる翁。
- 宮本信子(媪):翁の妻で、かぐや姫を優しく見守る母親役。
- 高良健吾(捨丸):かぐや姫が幼い頃を過ごした山里で共に育った幼なじみ。
関連映画
- 火垂るの墓
- もののけ姫
- 千と千尋の神隠し
ネタバレなし感想

全体の雰囲気・テイスト
この映画の最大の魅力は、手描きの線と水彩調の絵の具が生きているようなアニメーションスタイルです。輪郭線を描き切らず、あえて余白を残す筆致は、まるで一枚の日本画がそのまま動き出したような感覚を与えてくれます。本作の制作費は51.5億円ともいわれ、その多くがこの実験的な作画技術に注ぎ込まれています。物語中盤、感情を抑えきれなくなった姫が墨一色の荒々しい線だけで駆け抜けるシーンは、丁寧な作画とは対照的な勢いを持たせることで、姫の内側にある衝動をそのまま観客にぶつけてくる場面になっています。ただし、そのビジュアルの充実度に比べると物語の展開は終始ゆっくりで、観客を前のめりにさせる力はやや弱いと感じました。
見どころ・おすすめポイント
かぐや姫の内面の葛藤や、彼女を取り巻く人々の感情はきちんと描かれています。ただしその多くは、表情や間合いの変化といった映像の"手触り"で語られるにとどまり、セリフで丁寧に説明される場面は多くありません。静かな余白を味わいとして楽しめる人には効果的な作りですが、感情移入のきっかけを言葉で示してほしいと感じる人には、やや物足りなく映るかもしれません。137分という上映時間も、竹取物語というシンプルな骨格の物語には長めに感じました。特に都での生活が描かれる中盤は同じトーンの場面が続くため、集中力を保つのが難しい瞬間があります。
こんな人におすすめ/おすすめしない人
日本画のような映像美をじっくり味わいたい人、静かな"間"の演出を好む人には自信を持っておすすめできます。一方で、テンポよく進む展開や、セリフで感情を丁寧に説明してくれる作品を求める人には、もどかしさが残るかもしれません。結末の余韻をどう受け止めるかで評価が大きく分かれる映画だと思います。
評価
評価は5点中2点です。作画や音楽の完成度は疑いようがない一方、私自身の好みとしては素直に高得点をつけられませんでした。理由は次のネタバレありパートで詳しく触れます。
⚠️ ここからネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。
ネタバレあり感想
印象的だったシーン
竹取物語の原典どおり、かぐや姫は最後に月からの迎えを受け、地上で過ごした記憶とともにこの世を去っていきます。羽衣をまとった瞬間に人間らしい感情のすべてを忘れてしまうという結末は、原作の骨格を守りながらも、それまで丁寧に描かれてきた喜びや怒り、捨丸への想いといった感情の積み重ねを、最後にすべて手放させてしまう構成になっています。派手なカット割りではなく、静かな長回しでこの別れを見せる演出は、賑やかだった都のシーンとの落差でより一層際立っていました。
キャラクターについて
翁は姫を都で幸せにしようと財力と地位を注ぎますが、その"幸せ"の定義が姫自身の望みとずれ続けているところに、この物語の切なさがあります。媪は終始姫の気持ちに寄り添う存在で、翁との対比が効いています。捨丸は姫が本当に心を許せた数少ない相手として描かれますが、二人が結ばれることのないまま姫が月へ帰っていく展開は、地上での幸福が最初から一時的なものだったことを強く印象づけます。
良かった点・気になった点
正直に言うと、私はこの終わり方をあまり好きになれませんでした。アカデミー長編アニメーション賞にもノミネートされ、海外のレビューサイトでは満点評価も珍しくない作品だと知った上でも、率直な感想としては「美しいけれど、もう一度観たいとは思わない」という気持ちが強く残ります。積み上げてきた感情がすべて「忘却」という形で無に帰ってしまう構成は、余韻というよりも虚しさの方が先に立ってしまい、鑑賞後にすっきりとした満足感を得にくいと感じたからです。一方で、この読後感こそが本作の狙いだとも思います。喜びも怒りも、生きた証さえも月の前では等しく消えてしまう。その無常観を体感させることが目的なら、この映画は成功しています。
総評・一言まとめ
多数派の高評価に流されず正直に書くなら、私はカタルシスのある結末や、感情が報われる展開を評価に加点しがちなタイプなので、この映画の「何も報われない終わり方」は評価が伸びにくいと感じました。逆に言えば、静かな余韻や無常観をそのまま味わいたい人、日本画のような映像美に浸りたい人にとっては、非常に価値のある一本だと思います。好きになれるかどうかは別として、観る人を選ぶ理由がはっきりしている作品だという点は、正当に評価したいところです。
音楽

作曲は久石譲が手掛け、映画全体を通して心に響く音楽が印象的でした。特にラストシーンの音楽が物語の切なさを際立たせています。派手な主題歌ではなく、環境音に溶け込むような静かな旋律を選んでいる点も、この映画の「間」を大事にする作風とよく合っていると感じました。
まとめ

映画『かぐや姫の物語』は、手描きの線と水彩の質感が生きた唯一無二のビジュアルと、久石譲の音楽が高く評価されている作品です。一方で、物語の展開のゆるやかさや、感情がすべて忘却によって清算されてしまう結末は、好みが分かれるところだと感じました。今回の評価は5点中2点としましたが、これは作品の完成度を否定するものではなく、私自身の好みとして「もう一度観たくなる映画」ではなかったという率直な感想です。時間に余裕があり、日本画のような映像美と無常観をじっくり味わいたい方には、ぜひ一度観ていただきたい作品です。
この記事のまとめ
- ✓ 手描き水彩の映像美と久石譲の音楽が高く評価されている
- ✓ 物語の緩やかな展開と忘却による結末は好みが分かれる
- ✓ 評価は5点中2点で作品の完成度自体を否定するものではない