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映画ファンの皆さん、今回は2024年公開の映画『ジョーカー フォリアドゥ』(原題: Joker: Folie à Deux)について徹底レビューします。監督は前作に続きトッド・フィリップス、上映時間は138分。全米では2024年10月4日、日本では10月11日に公開されました。この記事では、映画のあらすじやキャスト情報に加えて、前半でネタバレなしの感想、後半でネタバレありの感想・考察をお届けします。結論から先に言うと、正直に言って手放しでは勧めにくい作品でした。前作『ジョーカー』の何が良かったのかを踏まえながら、率直な感想を書いていきます。
映画の情報

| 映画名(日本語) | ジョーカー フォリアドゥ |
| 映画名(英語) | Joker: Folie à Deux |
| 上映時間 | 138分 |
| ジャンル | サイコロジカル・スリラー / ミュージカル |
| 上映日 | 2024年10月4日(全米)/10月11日(日本) |
| 製作国 | アメリカ |
| 評価 | 5点中1点 |
あらすじ
アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)は精神の闇に囚われながらも、新たなパートナー、ハーリーン・クインゼル(レディー・ガガ)とともに混沌の世界を進んでいく。彼らの物語は、幻想的で狂気に満ちたミュージカルの形で描かれる。
本作は、2019年に公開され世界的な話題を呼んだ映画『ジョーカー』の直接的な続編にあたります。前作から2年後、アーカム州立病院に収容されたアーサーの裁判が物語の軸で、そこで出会う患者ハーリーン(通称リー)との関係が並行して描かれます。前作のレビューはこちらにまとめているので、未見の方はあわせてご覧ください。
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ネタバレなし感想

全体の雰囲気・テイスト
前作は、社会から見捨てられた孤独な男が静かに壊れていく過程を、抑えた色調と息の詰まる緊張感で描き切った作品でした。今作『フォリアドゥ』は舞台をアーカム州立病院と法廷に移し、そこにミュージカルという要素を大胆に持ち込んでいます。画面の質感自体は前作の延長線上にあり、荒涼としたゴッサムの空気感は健在です。ただし、物語の運び方や感情の見せ方は前作とはっきり違う方向に舵を切っており、続編として同じテンションを期待すると面食らうはずです。
感想1:ミュージカル要素は斬新だが挑戦的すぎる
前作『ジョーカー』の最大の魅力は、アーサーの内面の葛藤や孤独が、セリフではなく表情や沈黙、ぎこちない笑い方といった身体表現だけでじわじわと伝わってくる緊張感にありました。今作ではその内面描写の多くが、歌という形に置き換えられています。ハーリーンとの関係が深まる場面や、アーサーの心情が揺れ動く場面で唐突に音楽が挿入され、そこまで積み上げてきた緊迫感が一度リセットされてしまう感覚がありました。ミュージカル映画としての楽曲・演出自体は決して悪い出来ではなく、挑戦する姿勢は評価したいのですが、「ジョーカーというキャラクターに合っていたか」と聞かれると、素直には頷けないというのが正直な感想です。
■ ここがポイント
前作の魅力だったアーサーの内面描写が、今作では歌に置き換えられたことで緊張感が途切れがちになっている、というのがこの記事を通じて一番伝えたい感想です。
感想2:視覚表現の美しさ
シネマトグラフィーに関しては、今作でも見応えがあります。特に法廷や病院内の彩度を落とした画作りと、アーサーの妄想の中だけで展開されるミュージカルシーンの極彩色のコントラストは印象的で、現実とアーサーの内側の世界がどれだけ乖離しているかを視覚的に突きつけてきます。カメラが人物にじっくり寄り添う場面も多く、ホアキン・フェニックスの表情の変化を丁寧に見せる作りは前作から一貫しています。ただ、こうした映像的な見せ場が目立つ分、肝心の物語の推進力が弱く感じられる場面もあり、映像の美しさと物語の面白さが必ずしも噛み合っていない印象を受けました。
感想3:ストーリーの難解さ
物語自体は、裁判劇という比較的シンプルな骨格を持っています。それでも観客に解釈を委ねる場面が多く、「結局アーサーとリーの関係は何だったのか」「この映画が伝えたかったテーマは何なのか」という疑問が最後まで残る作りになっています。特にジョーカーとリーの関係性の深掘り不足が惜しいところで、前作を気に入っていた人ほど、続編に対する期待値とのギャップに戸惑う可能性が高い一本です。
こんな人におすすめ/おすすめしない人
前作『ジョーカー』のファンで、ミュージカル映画にも抵抗がない人、ホアキン・フェニックスとレディー・ガガの演技そのものを楽しみたい人にはおすすめできます。一方で、前作のようなクライムサスペンス的な緊張感を期待している人、ミュージカル演出が苦手な人には正直おすすめしにくい作品です。
評価
評価は上の表に記載のとおりです。前作を高く評価していた身としては、厳しめの点数にならざるを得ませんでした。詳しい理由は、この先のネタバレあり感想でじっくり書いていきます。
ここまでの感想を一言で言うなら、ミュージカルにしたことで、前作にあった息苦しいほどの緊張感が薄れてしまったという一点に尽きます。
⚠️ ここからネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。
ネタバレあり感想・考察
印象的だったシーン
最も印象に残ったのは、法廷でアーサーが自らの意思をはっきり表明し、それまでの生活・関係を大きく揺るがす展開に向かっていく終盤の流れです。彼が自分自身の言葉で語り始める場面には、前作にはなかった当事者性があり、演技として見応えがありました。ただしその後、爆発事件をきっかけに事態が急展開し、アーサーが再逮捕され、最終的にアーカム州立病院内で刺殺されるというラストには、正直やりきれなさが残りました。前作でアーサーに肩入れしていた分、この結末の重さをどう受け止めればいいのか、観終わったあともしばらく考え込んでしまいました。
キャラクターについて
ハーリーン、劇中で「リー」と呼ばれる彼女の存在は本作の大きな軸です。彼女がアーサー個人ではなく「ジョーカー」という虚像に惹かれているのではないか、という違和感は物語が進むにつれて色濃くなっていきます。アーサーが法廷で本当の自分をさらけ出そうとするほど、リーとの間に生まれる温度差が際立ち、この噛み合わなさこそが今作の核心的なテーマなのだと感じました。一方で、アーサー自身の心情の変化についても、歌の場面に頼りすぎたことで、地続きの説得力がやや薄れてしまったように思います。
良かった点・気になった点
良かった点は、ホアキン・フェニックスとレディー・ガガの演技力、そして法廷劇としての緊張感がにじむ場面の数々です。特にアーサーが証言台に立つ場面の生々しさは見応えがありました。気になった点は、やはりミュージカル演出のタイミングと分量です。感情が最も高まるべき場面で歌に切り替わることで、緊張の糸が切れてしまう瞬間が何度もありました。物語の余白を解釈に委ねすぎている部分も多く、前作にあった「一本道で突き刺さってくる怖さ」が薄まってしまったのは否めません。
総評・一言まとめ
総評として、『ジョーカー フォリアドゥ』は挑戦的な試みではあるものの、前作の良さを素直に引き継いだ続編とは言えない作品だったというのが正直な感想です。ミュージカルにしたのが謎、というのが観終えて最初に浮かんだ言葉で、歌のパートが増えるたびにアーサーの追い詰められた空気が和らいでしまい、そのぶん前作の良さが台無しになっているように感じました。興行成績も前作から大きく落ち込み、世界興収は約2億750万ドルにとどまっています。ゴールデンラズベリー賞で最低前日譚・リメイク・盗作・続編賞を受賞するなど、世間的な評価も厳しいものでした。とはいえ、ホアキン・フェニックスの演技や法廷劇としての見応えなど、部分的に光るところがあるのも事実です。
キャスト情報

監督:トッド・フィリップス
前作に続き、トッド・フィリップスが監督を務めました。音楽は前作でも高い評価を得たヒドゥル・グドナドッティルが再び担当しています。
脚本:トッド・フィリップス、スコット・シルバー
物語の複雑さは彼らの筆致によるものです。
出演者
- ホアキン・フェニックス(アーサー・フレック / ジョーカー役)
- レディー・ガガ(ハーリーン・クインゼル / 通称「リー」役)
- ブレンダン・グリーソン(ジャッキー・サリヴァン役)
- キャサリン・キーナー(弁護士メアリーアン・スチュワート役)
まとめ

映画『ジョーカー フォリアドゥ』は、前作から大きく方向性を変えた挑戦的な作品です。ミュージカル要素や視覚的な美しさは注目に値しますが、その分だけ前作にあった緊張感や説得力が薄れてしまったというのが率直な感想です。ミュージカルにしたことが物語の緊迫感を削いでしまい、結果的に前作の良さを台無しにしてしまったように感じました。それでも、ホアキン・フェニックスとレディー・ガガの演技、法廷劇としての見応えは確かにあります。前作のファンとして一度は自分の目で確かめてほしい作品ですが、期待値は前作ほど高く持たずに観ることをおすすめします。
この記事のまとめ
- ✓ 前作の内面描写が歌に置き換わり、緊張感が途切れがちになる
- ✓ シネマトグラフィーやキャストの演技は見応えあり
- ✓ 世界興収は前作から大幅減、ラジー賞も受賞するなど世間の評価も厳しめ