昼寝中にみた夢で、「お前の瞳を夕日か血に染めてやろうか」みたいなセリフを言っている映画を観て、ポスターのイメージは「時計じかけのオレンジ」でした。
観たい映画でチェックはしていたから、深層心理で観たくてしょうがなかったんでしょうね。
てことでようやく観ました。
英語はそんなにできないけど、イギリスの発音が強調されていました。
1970年代に作られた映画ですが、問いかけている問題は現代でも通じるものがあって、人間の性質は時が経っても変わらないんだなとしみじみと感じました。
Filmarksで他の人の感想をみて共感したのが次の文章です。
誰も正しくなんかないこの世界でいったい誰が若年層に人生を教えるのか、現代にも通じるものがあるなと感じた。
時計じかけのオレンジのNANAのレビュー・感想・評価
まさにこの通りだなと思いました。
大学まで出て社会人になって汗水たらして働いて年をとっていく。そんな人達が人生の正解を知っているかと言ったらそうは思わない。
働いていて憧れるかっこいい大人ってなかなかいない。
自分がかっこいい大人になっているのかなんてさらに難しい。
この映画では暇を持て余した若者が暴力や性欲の衝動に駆られて暴れるのも「まあ、そういう人もいるだろうな」と冷静にみることもできるし、そんな若者が出てくるのを国や社会のせいにしてしまう大人も多い。
正解なんてないのにどっちが正しいとか悪いとか、正義とか悪とかを決めつけている社会に対して容赦なく風刺しているこの映画はとても見応えがありました。
1971年の古い映画ですが、U-NEXTで観ることができます。
先に結論だけ言っておくと、僕の評価は5点中4点です。ドギツい描写に耐性さえあれば、社会の偽善を容赦なくえぐる一本として文句なくおすすめできます。ここから先はまずネタバレなしの感想、そのあとに「⚠️ ネタバレあり」の見出し以降で結末まで踏み込んだ考察という順番で書いているので、気になるところだけつまみ食いしてもらえればと思います。
作品情報

| 邦題 | 時計じかけのオレンジ |
| 原題 | A Clockwork Orange |
| 上映日 | 1972/4/29 |
| 作成国 | イギリス |
| ジャンル | ドラマ/SF/クライム |
| 上映時間 | 137分 |
⚠ 注意
本作は暴力表現・性的表現を含み、日本での映倫区分はR18+相当です。刺激の強い描写が苦手な方や未成年の方はご注意ください。
あらすじ
喧騒、強盗、歌、タップダンス、暴力。山高帽の反逆児アレックスは、今日も変わらず最高の時間を楽しんでいた ― 他人の犠牲の上にのみ成り立つ最高の時間を。モラルを持たない残忍な男が洗脳によって模範市民に作りかえられ、再び元の姿に戻っていく。
filmarksより
原作はアンソニー・バージェスが1962年に発表した同名小説です。「映像化不可能」と言われていた作品だったそうですが、その難しさを知ったうえで観ると、暴力描写と作中独自の言葉遊び(あとで触れるナッドサット語)がセットで機能していることがより腹落ちすると思います。
キャスト
監督・脚本:スタンリー・キューブリック

「時計じかけのオレンジ」はスタンリー・キューブリックの作品の中でもっとも議論を巻き起こした映画です。
映画化は不可能だと言われていた原作を見事に映画化しましたが、当時はかなり厳しい批判をされていたみたいです。
見た目はこだわりの強そうなおっさんですね。(笑)
「シャイニング」の長回しや「2001年宇宙の旅」の左右対称の構図など、キューブリックは画面の隅々まで計算し尽くす監督として知られていて、本作でも一分の隙もない構図へのこだわりが随所に見えます。
スタンリー・キューブリックの他の映画
- シャイニング
- 2001年宇宙の旅
- フルメタルジャケット
出演者
出演者情報は「俳優(役名)」の順番で記載しています。
マルコム・マクダウェル(アレックス・デラージ)

映画の冒頭からめちゃくちゃ印象に残る目つきで登場してきます。
こんな悪そうな目つきってできるんですね。
片目だけマスカラをつけているのは謎なのですが、これも恐らく意味があるんでしょうね。
刑務所で更生されるときは普通にイケメンで笑う。
アレックス・デラージという役どころは、悪役なのに目が離せない魅力を持たせなければ成立しない難しい役だと思うのですが、人懐っこさと不穏さを行き来するマクダウェルの演技のおかげで、観客はいつの間にか彼に感情移入させられてしまいます。
トリビアとして、マルコム・マクダウェルが爬虫類嫌いと知って、キューブリック監督は映画の中に蛇を飼っているシーンを取り入れたみたいですw
ただの嫌がらせですかねw
マルコム・マクダウェルが出演している他の映画
- スキャンダル
- アーティスト
- 小悪魔はなぜモテる?!
他のマイナーな映画が気になったらU-NEXTで検索するのをおすすめします。
U-NEXTはマイナーな映画を多く取り揃えてくれてます。
ネタバレなし感想
全体の雰囲気・テイスト
物語の舞台は近未来のロンドンです。とはいえコンピューターやハイテク機器がバンバン出てくるわけではなく、ミルクバーや団地といったどこか懐かしい風景に、奇抜なファッションと暴力が同居している独特の空気感があります。
全体を通して漂うのは、笑えるのに笑いきれないブラックユーモアの気配です。ベートーヴェンの荘厳な音楽と、目を背けたくなる暴力シーンが同じテンションで並べられることで、観ているこちらの感覚がじわじわとおかしくなっていくような、独特の酔いを味わえます。
見どころ・おすすめポイント
見どころのひとつは、広角レンズを使った歪んだ画角です。暴力シーンや尋問シーンで多用されていて、画面の端が歪むことで、まるで正気を失いつつある主人公の視点を覗いているような感覚にさせられます。専門用語を知らなくても、「なんか画面が歪んでて不穏だな」という感覚だけで十分に効果を受け取れる作りになっています。
もうひとつは音楽の使い方です。ベートーヴェンの交響曲第9番のような荘厳なクラシック音楽が刺激の強いシーンに重ねられることで、美しさと恐ろしさが同時に襲ってくる、キューブリック作品ならではの気持ち悪さを味わえます。
こんな人におすすめ/おすすめしない人
ドギツい描写に抵抗がなく、社会や正義について斜に構えて考えるのが好きな人にはたまらない一本だと思います。
逆に、暴力描写や性的描写がしんどく感じてしまう人や、はっきりした勧善懲悪のカタルシスを求めている人にはおすすめしません。観たあとに気分がすっきりするタイプの映画ではないです。
評価
■ ここがポイント
評価は5点中4点です。減点1の理由は、刺激が強すぎて何度も観たくなる映画ではないことと、後半の展開がやや説明的に感じたことの2点。それでもテーマの鋭さと映像の完成度は文句なしの一本だと思います。
星で言えば5点中4点。社会の偽善を許さないという一貫した視点があるからこそ、単なるバイオレンス映画で終わらない見応えがあります。
ネタバレあり感想・考察
⚠️ ここからネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。
印象的だったシーン
目を開かれたまま固定されるシーンはもっと残酷かと思ったらそうでもなかった
時計じかけのオレンジで画像検索すると目を固定されて拷問されているようなシーンに見えるのですが、ちゃんと映画を観ると治療中で暴力や性暴力の映像をずーーと見せられているだけ。
その間は目が乾燥するから付き添いの人が絶え間なく目薬をさしてくれる。
まあ、その治療自体は効果抜群なのだが、映画のワンシーンとしては想像よりも怖くはなかった。
ただ、イメージとしては脳裏に焼き付くのは間違いない。カメラが固定されたまま主人公の顔だけをじっと映し続けるので、逃げ場のなさが観客にもそのまま伝わってくる作りになっています。
主人公が女の子ふたりをひっかけて部屋に連れ込んでの2倍速が良かった
結局、今も昔も若者の関心事は同じなんだなって思ったシーンでした。
そのシーンの表現の仕方が固定カメラで2倍速で観察しているのが個人的に好きでした。編集で速度を上げるだけで、生々しいはずの場面がどこかコミカルに見えてくる不思議さがあります。
複数人が絡むシーンで、一人が帰ろうとするたびにまた誘われて、を何度か繰り返す展開が予想できて「やっぱり!w」となった瞬間は楽しかったです。
こんな変な見方をしている奴もそうそういないでしょうね。
キャラクターについて
アレックスというキャラクターの厄介なところは、殺人や性暴力にまで手を染める最低な人間なのに、クラシック音楽への愛や、追い詰められたときの弱さも同時に見えてしまう点です。単純な悪役として切り捨てられないから、観客はずっと落ち着かない気分で彼を見守ることになります。
刑務所で治療に協力する牧師は、ルドヴィコ療法に対して「善悪を選ぶ自由がない人間に、本当の善はあるのか」と問いかけます。この牧師の視点があるおかげで、映画全体が単なる「更生の物語」ではなく、「自由意志とは何か」を突きつける話になっています。
一方で、アレックスを利用する政治家や、退院後に手のひらを返す元被害者たちの姿は、暴力を裁く側の人間も別の形の身勝手さや偽善を抱えていることを見せつけてきます。誰も清廉潔白ではない、というのがこの映画の一番意地悪なところだと思います。
良かった点・気になった点
新療法については良いと思う
殺人をしてしまうほど暴力的な人間が、新療法をわずかな期間受けるだけで暴力性を抑えることはできるが、代償として人間性まで失ってしまうため、施設の残忍さについて問題視されている。
個人的には殺人をしてしまうような人はそれほどの荒療治をしない限り本質から変わることはできないのだから、新療法はすればいいんじゃないかなって思ってしまう。
どうせ14年経ったあとに釈放されて、また同じことを繰り返すのでしょう。
それがたった短期間で社会に出ることができるのだから、人間性を損なうとはいえ代償としては足りないくらいだ。
人間性が損なわれるとは言っているが、暴力衝動や性加害の衝動を抑えられなくなる(正確には抑えるしかなくなる)のであってそれ以外は不自由なく食事を楽しんだりすることができる。
牧師が選択肢がないじゃないかと主張していたのは分かるものの、14年待てずに本人が望んで治療を受けたんだから別にいいじゃない、というのが僕の率直な感想です。
中二病だったらナッドサット語を覚えていたわw
主人公たちの不良グループが使っていたよくわからない言葉はナッドサット語で、ロシア語とロンドン訛りのスラングを混ぜ合わせた特有の隠語らしいです。
仲の良い友達間であれば、この隠語を使って楽しむのもありかもしれないですが、そんな遊びにつきあってくれる奴もなかなかいないですよね。
もしいたら一緒に遊びましょうw
気になった点を挙げるなら、刺激の強い描写が続く分、一度観たら十分というか、気軽に何度も観返したくなる映画ではないところです。あとは、ルドヴィコ療法が解けたあとの後半パートは、テーマの説明がやや直接的すぎるようにも感じました。
総評・一言まとめ
この映画がずっと突きつけてくるのは、「選べない善は、はたして善と呼べるのか」という問いだと思います。国家は暴力を取り締まりたいはずなのに、その手段として個人から選択の自由そのものを奪う。暴力をふるう側も、それを裁く側も、都合よく正義を使い分けている。この二重の偽善こそが、「時計じかけのオレンジ」というタイトルの意味(生き物のはずの人間が、機械のように仕込まれてしまう)にそのままつながっているのだと感じました。
刺激の強い描写に目を奪われがちですが、社会の偽善を許さない視点でここまで容赦なく描き切った映画はなかなかないので、評価は5点中4点で確定です。
音楽
主人公はベートーヴェンの第九が好きだったのですが、新療法の映像の中で偶然にもその音楽が流れてしまう。
この映画で流れる音楽の多くは、ウォルター・カーロスによるシンセサイザー版のベートーヴェン交響曲第9番です。クラシックの名曲を電子音でひねって聴かせることで、原曲の荘厳さに少し不穏な響きが混じって聞こえてくるのが面白いところです。
理療の効果は抜群なので、音楽を聴くだけで吐き気がしてしまう。
釈放された後も趣味の一つが奪われてしまう。
あとは、主人公がある家に押し入って乱暴を働いた際にマスクをつけていたが、「雨に唄えば」を口ずさんでいて、再度その家を訪れたときに歌声であの時の犯人だとばれてしまうシーンもよかったですね。
有名な曲だから口ずさめるようになりたいですね。
📝 補足メモ
この映画は公開当時、暴力表現が模倣犯罪を招いたとして批判を浴び、イギリスではキューブリック監督自身の要請で1973年から約26年間、上映が禁止されていました(再開は1999年)。「暴力を批判する映画が現実の暴力を助長すると恐れられて封印される」という顛末そのものが、この映画がずっと問いかけてきた社会の偽善を体現しているようで興味深いです。
まとめ
1970年代の古い映画ですが、2020年代の今でも楽しむことができる「時計じかけのオレンジ」という映画でした。
イギリス訛りの英語を勉強するにはいいかもしれないですね。内容は何度も観たいとは思わないので難点ですがw
死ぬまでに観たい映画1001本の中の1つでもあるので、一度は観ておきたい映画です。
U-NEXTから観れるので是非一度。
観るときは一人で観たほうがいいかもですね。くれぐれも親とは一緒にみないように。(笑)
この記事のまとめ
- ✓ 評価は5点中4点。ドギツさに耐性があるなら文句なしにおすすめの一本
- ✓ ルドヴィコ療法が突きつけるのは「選べない善は善と呼べるのか」という問い
- ✓ 暴力を裁く側の身勝手さも描き、国家と個人の双方の偽善を許さない視点が本作の見応え