チャド・スタエルスキ監督が手がけるアクション超大作シリーズの完結編、『ジョンウィック コンセクエンス』(原題:John Wick: Chapter 4)を観た感想とレビューをお届けします。アメリカでは2023年3月24日、日本では同年9月22日に公開され、上映時間はシリーズ最長となる169分。主席連合に追われ続けるジョン・ウィックが、古の掟である「決闘」に活路を見出すまでの死闘を描いた本作は、アクション映画としての物量と、シリーズを締めくくる余韻の両方を兼ね備えた一本でした。本記事ではまずネタバレなしで作品の雰囲気や見どころを紹介し、そのあと「ここからネタバレを含みます」と明示したうえで、決闘の顛末やキャラクターの魅力まで踏み込んで感想と考察を書いていきます。
映画の情報

| 映画名(日本語) | ジョンウィック コンセクエンス |
| 映画名(英語) | John Wick: Chapter 4 |
| 上映時間 | 169分 |
| ジャンル | アクション / サスペンス |
| 上映日 | 2023年3月24日(米国)/ 2023年9月22日(日本) |
| 製作国 | アメリカ |
| 評価 | 5点中4点 |
あらすじ
壮絶な戦いを繰り広げてきたジョン・ウィックが、自身の自由と平穏を求め、最後の闘いに挑む。宿敵との死闘とともに明かされる過去と、壮絶な運命が交錯する物語。
ジョンを執拗に追い詰める主席連合(ハイテーブル)に対し、ジョンは組織に伝わる古の掟「決闘」による決着を申し出ます。相手として指名されるのは、フランス貴族グラモン侯爵。そして侯爵の代理人として立ちはだかるのが、盲目の暗殺者ケインです。誰と誰が、どんな理由で刃を交えることになるのか――その先の顛末は、ぜひ本編でじっくり確認してほしいところです。
キャスト情報

監督:
チャド・スタエルスキ。シリーズ全作でメガホンを取ってきた監督本人がスタントマン出身であることもあり、本作でもワイヤーやCGに頼りすぎない、生身の身体で殺陣を成立させる演出が一貫しています。
出演者
- キアヌ・リーブス(ジョン・ウィック役)
- ドニー・イェン(ケイン役:盲目の暗殺者)
- 真田広之(シマヅ・コウジ役:大阪コンチネンタル支配人)
- ビル・スカルスガルド(グラモン侯爵役)
- イアン・マクシェーン(ウィンストン役)
今回の目玉は何と言っても、ドニー・イェンと真田広之という二人のアジア系アクションレジェンドの参戦です。香港アクションの重鎮であるドニー・イェンと、日本の時代劇からハリウッド大作まで渡り歩いてきた真田広之が、キアヌ・リーブスと同じ画面に立つだけでシリーズのスケールが一段引き上がった印象を受けました。
ネタバレなし感想

全体の雰囲気・テイスト
169分という長尺を聞くと身構えてしまいますが、実際に観てみるとテンポの悪さはほとんど感じません。ジョンが都市から都市へと追われていく構成そのものがロードムービー的で、大阪、ベルリン、パリと舞台が切り替わるたびに新しい敵と新しい殺陣が用意されているため、飽きる暇がないというのが率直な感想です。ネオンと逆光を多用した画面づくりは前作までのトーンを踏襲しつつ、パリの石畳や大聖堂前の広場といった実景を活かしたロケーションが加わり、シリーズの中でも一番「絵として見応えがある」一本になっていると感じました。
見どころ・おすすめポイント
凱旋門の周りをぐるぐる回るロータリーを舞台にしたカーアクションは、予告編でも話題になったとおり本作最大の見どころのひとつ。信号も車線もお構いなしの交差点を、車の流れに逆らいながら駆け抜けていく撮り方は、それだけで一つのアトラクションのような迫力があります。もう一つの目玉が、教会前の階段を見下ろす形で撮られた俯瞰ワンカット風の銃撃戦です。カットを割らずに長回しで見せる撮影(実際には複数テイクをつなぎ合わせていますが、切れ目を感じさせない編集でひと続きの動きに見せています)によって、まるで自分がその場でジョンの動きを追いかけているような臨場感が生まれています。ドニー・イェン演じるケインの殺陣も見どころで、盲目という設定を逆手に取った音を頼りにする立ち回りは、これまでのシリーズにはなかった殺陣の見せ方でした。
こんな人におすすめ/おすすめしない人
『ジョン・ウィック』シリーズを1作目から観てきた人はもちろん、単体のアクション映画として物量と迫力を楽しみたい人にもおすすめできる一本です。逆に、静かな会話劇やミステリー要素の強い展開を期待している人には、169分ずっとアクション濃度が高いこの映画は少し胃もたれしてしまうかもしれません。人が次々と倒れていく描写が多いため、暴力描写が苦手な人は注意してください。
評価
星評価は5点満点中4点としました。169分という尺の長さをどう受け止めるかで評価が割れそうな作品ですが、アクションの物量とキャストの説得力で最後まで押し切ってくれる、シリーズ屈指の完成度だと感じています。
ネタバレあり感想
⚠️ ここからネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。
印象的だったシーン
まず外せないのが、凱旋門を囲むロータリーでのカーチェイスです。信号待ちの車列をすり抜けながら敵の車に追われる様子は、カメラが車の外と車内を目まぐるしく切り替えることでスピード感と閉塞感を同時に伝えてくる演出になっていました。次に、大聖堂前の階段を上から捉えた俯瞰ワンカット風の銃撃戦。ジョンが階段を駆け上がりながら次々と敵を排除していく一連の流れは、カメラの位置を高く固定することで戦況全体が見渡せる作りになっており、単なる一対一の殺陣とは違う「戦場」としての臨場感がありました。そして忘れられないのが、ラストに向けてジョンが階段を何度も転げ落ちる、いわゆる階段落ちのシーンです。ここまで積み上げてきたアクションの格好よさとは対照的に、ジョンの肉体がボロボロになっていく様子を執拗に映すことで、決闘に挑む前の消耗が観客にも実感として伝わってきました。
キャラクターについて
ドニー・イェン演じるケインは、盲目の暗殺者でありながらジョンとは旧友という関係性が明かされ、グラモン侯爵の代理人として決闘の相手にならざるを得ない立場に置かれます。敵でありながら心情的にはジョンに近いという中間的なポジションが、この映画に単純な勧善懲悪では終わらない厚みを与えていました。真田広之演じるシマヅ・コウジは大阪コンチネンタルの支配人という立場で登場し、組織のルールに縛られながらもジョンとの信義を優先する場面があり、短い出番の中でも存在感を残しています。ビル・スカルスガルド演じるグラモン侯爵は、余裕たっぷりの態度で場を支配する一方、追い詰められると醜態をさらす人物として描かれ、その落差がジョンとの決闘に説得力を持たせていました。イアン・マクシェーン演じるウィンストンも、これまで築いてきたジョンとの関係の重みを引きずったまま、この物語の決着に立ち会う役回りを果たしています。
良かった点・気になった点
良かった点は、やはり169分をかけて積み上げるアクションの物量です。凱旋門のカーアクション、俯瞰ワンカットの銃撃戦、階段落ち、そして決闘と、見せ場が終盤にかけて途切れなく続くため、長尺を感じさせない密度がありました。ドニー・イェンと真田広之という香港・日本双方のレジェンドを同じ画面に配置したキャスティングも、シリーズを締めくくるにふさわしい豪華さだったと思います。気になった点を挙げるとすれば、やはり169分という上映時間そのもの。個々のアクションシーンの完成度は高いのですが、決闘に至るまでの前半部分はやや説明的な会話が続く箇所もあり、テンポの起伏をもう少しつけてほしかったというのが正直な感想です。
総評・一言まとめ
■ ここがポイント
169分の物量アクション、ドニー・イェンと真田広之という二人のレジェンドの存在感、そして決闘という古の掟による決着――この3つが噛み合って、シリーズ集大成としての満足感を作り上げています。
物語の決着は、ジョンとケインの決闘です。夜明けの大聖堂前で行われる一対一の決闘は、これまでの銃撃戦中心のアクションとは違い、拳銃を構えたまま歩数を数えて向き合うという古典的な作法にのっとって進みます。結果としてジョンが決闘に勝利し、主席連合からの解放を勝ち取るのですが、その代償として全身に深い傷を負ったジョンは、大聖堂の階段に腰掛けて夜明けを迎えたあと、静かに息を引き取ります。そして最後に映るのは、亡き妻ヘレンの墓の隣に並んだジョンの墓。復讐と逃亡に費やした日々の果てに、ようやく妻の隣で眠りにつくというラストは、これまでの4作を追いかけてきた身としてはやはりこみ上げてくるものがありました。派手なアクションで魅せてきたシリーズが、最後は静かな墓地のワンシーンで幕を引くという構成そのものが、この映画の一番の余韻だったと思います。
まとめ

『ジョンウィック コンセクエンス』は、シリーズの締めくくりにふさわしい作品です。凱旋門のカーアクションや俯瞰ワンカットの銃撃戦といった169分ならではの物量、ドニー・イェンと真田広之という二人のレジェンドの存在感、そして決闘という古の掟による静かな決着とラストの余韻まで、アクション、ストーリー、映像美のすべてが高い完成度でまとまっています。評価は5点満点中4点。映画ファンなら見逃せない一本なので、ぜひ劇場や配信サービスでその迫力を体感してください!
この記事のまとめ
- ✓ 凱旋門のカーアクションと俯瞰ワンカットの銃撃戦が169分の中盤〜終盤の見どころ
- ✓ ドニー・イェン(ケイン)と真田広之(シマヅ・コウジ)の参戦でシリーズのスケールが拡大
- ✓ ケインとの決闘による決着と、ヘレンの隣に眠るラストが最大の余韻